【事例解説】クラシルの成功を徹底分析!リーンキャンバスで読み解く料理動画サービスの勝ちパターン
第1章:成功事例をモデル化する重要性
あなたが起業を考えているとき、アイデアをいきなり実行に移すのは少々危険です。なぜなら、良いアイデアの多くは「既に似たものが存在する」か、「市場に受け入れられるか不明」だからです。
そこでおすすめなのが、既に成功しているビジネスモデルをフレームワークで分解して学ぶこと、そして小さく試すことです。
今回取り上げるのは、レシピ動画アプリで圧倒的な地位を築いた「クラシル(kurashiru)」。
ユーザー数は数千万人規模、動画総再生回数は数十億回を超え、料理動画の代名詞ともいえる存在になっています。
本記事では、あなたの起業アイデアに活かせるよう、クラシルを「リーンキャンバス」というフレームワークで分解し、成功の要因を深掘りしていきます。
最後には、クラシルの戦略を他分野に応用するヒントもお伝えします。
第2章:クラシルとは?
クラシルは、2016年にdely株式会社によってリリースされたレシピ動画サービスです。特徴は「1分でわかる料理動画」というコンセプト。
料理の手順を美しい映像で簡潔にまとめ、スマホで気軽に視聴できるようにしました。
主な特徴
- 高画質・短尺(1分前後)のレシピ動画
- 材料・手順が画面に分かりやすく表示
- アプリとWebの両方で利用可能
- 食材や調理器具の購入リンク付き
成長の軌跡
リリース直後からSNSを通じて爆発的に広まり、わずか数年で国内最大級のレシピ動画サービスに成長しました。
競合には「DELISH KITCHEN」や「Cookpad」がありましたが、クラシルは動画品質とUIの美しさで差別化に成功しました。
第3章:リーンキャンバスとは?
リーンキャンバスは、アッシュ・マウリャ氏が提唱した1枚の紙でビジネスモデルを整理するフレームワークです。9つの要素で構成され、スタートアップや新規事業のアイデアを検証・改善するのに適しています。
リーンキャンバスの9つの要素
- 問題(Problem)
– 解決すべき課題は何か
- 顧客セグメント(Customer Segments)
– 誰がその課題を抱えているのか
- 独自の価値提案(Unique Value Proposition)
– そのサービスならではの魅力は何か
- 解決策(Solution)
– 課題をどう解決するのか
- チャネル(Channels)
– どうやって顧客に届けるか
- 収益の流れ(Revenue Streams)
– どう収益化するか
- コスト構造(Cost Structure)
– どんなコストが発生するか
- 主要指標(Key Metrics)
– 成長を測るための指標は何か
- 圧倒的な優位性(Unfair Advantage)
– 他社が簡単に真似できない強みは何か
リーンキャンバスの無料テンプレート(PDF)をダウンロードできます。
今回は、このリーンキャンバスを使ってクラシルのビジネスを分解し、成功の理由を明らかにしていきます。
第4章:クラシルのリーンキャンバス分析
では、いよいよ「クラシル」をリーンキャンバスに落とし込んでみましょう。
(1) 課題(Problem)
- レシピ情報がネットや本に溢れていて、探しにくい
- 写真や文章だけだと「手順」が分かりにくい
- 毎日の料理で「献立を考えるのが大変」
💡 誰もが感じる「料理の悩み」を深掘りしたことで、多くの人に共感されやすい出発点になりました。
(2) 顧客セグメント(Customer Segments)
- 料理初心者や忙しい社会人
- 共働きで時短調理を求める家庭
- 毎日の献立に悩む主婦・主夫
💡 「料理が必要だけど苦手」な層を狙うことで、利用者数を一気に増やすことに成功しました。
(3) 独自の価値提案(Unique Value Proposition)
- 1分程度の短く分かりやすい料理動画
- 美しい映像で「誰でも作れる」安心感を提供
- 献立提案や食材検索など、実生活に直結する機能
💡 「動画でわかる」という強みが、他のレシピサイトとの差別化ポイントになりました。
(4) ソリューション(Solution)
- 高品質なレシピ動画の制作
- アプリ上で直感的に検索できるUI/UX
- 食材や時間に合わせたフィルタリング機能
💡 解決方法を「動画+アプリ」で一貫して提供し、課題を直接的に解消しました。
(5) チャネル(Channels)
- iOS/Androidアプリを主軸に展開
- YouTubeやSNSで動画を拡散
- 検索エンジン経由のWeb流入
💡 SNSとアプリを組み合わせることで、自然に口コミが広がりやすい仕組みを作りました。
(6) 収益の流れ(Revenue Streams)
- 広告収益(アプリ内・動画広告)
- 企業タイアップ(食品メーカーのレシピ開発)
- 有料会員プラン(月額で機能拡張)
💡 複数の収益源を確保することで、安定したビジネス基盤を築きました。
(7) コスト構造(Cost Structure)
- レシピ動画制作費(撮影・編集・料理開発)
- アプリ開発・サーバー維持費
- マーケティング費用
💡 高品質動画にはコストがかかりますが、その分「信頼感」と「ブランド力」を得られました。
(8) 主要指標(Key Metrics)
- アプリのダウンロード数・MAU(月間アクティブユーザー数)
- 1動画あたりの平均視聴完了率
- 有料会員数や継続率
💡 「使われ続けているか」を測る指標を重視したことで、サービス改善につなげられました。
(9) 圧倒的な優位性(Unfair Advantage)
- 圧倒的な動画制作のクオリティとノウハウ
- 幅広いレシピラインナップ(数万本規模)
- 先行者としてのポジションとブランド認知
💡 後発がすぐに追いつけない「動画の質と量」で、市場での優位性を確立しました。
🎯 ポイントまとめ
クラシルのリーンキャンバスを見てわかるのは、
- 課題が明確
- 解決策がシンプルかつ効果的
- 収益化の道筋も早期に用意
という「起業の理想形」に近い構造を持っていることです。
第4章:見えてきた7つの成功要因
要因①:UX最優先—“1分で分かる”に全てを寄せた
🎯 なぜ効いた?
- ユーザーが本当に求めているのは“学ぶこと”ではなく“今すぐ作れること”。そこで認知負荷(考える負担)を最小化する短尺・高画質・手順明快の体験に集中した。
- 「短い=最後まで見られる=行動につながる」。完了率が上がると満足度も口コミも増える。
📌 どう真似る?(あなたの事業での置き換え)
- コンテンツ1本の構成テンプレ
例)フィットネスなら「1分でできる肩こり解消」/語学なら「30秒で言い換え3パターン」。
- コンテンツ1本の構成テンプレ
- 先に完成形(ゴール)を見せる
- 材料/前提の確認(3点以内)
- 手順は3ステップ以内
- 失敗しやすいポイントは1つだけ
- 行動ボタン(保存・買う・試す)
📈 何で測る?(KPI)
- 完了率(最後まで視聴/スクロール)
- 1本あたりの保存率/お気に入り率
- 1セッションの行動数(作る・購入・シェア等)
❌ やりがちな失敗
- “全部盛り”で冗長化(情報は削る勇気)
- 解像度より本数重視で品質低下(品質≧本数のバランス)
要因②:制作工程の“工場化”—高品質を量産する仕組み
🎯 なぜ効いた?
- 成功するコンテンツは偶然ではなく再現できる。
- レシピ選定→撮影→編集→QA→配信までを標準化し、誰が作ってもブレない品質を担保。
📌 どう真似る?(あなたの事業での置き換え)
- 自分の領域で「撮影・編集・校正のチェックリスト」を作る。
例)
- 構成:導入10秒/本編40秒/まとめ10秒
- 画角:俯瞰→寄り→仕上げの3カット必須
- テロップ:名詞・数値は必ず表示、動詞は短く
- QA:初見テスターに見せて“迷い秒数”を計測
- バッチ処理:1日で台本10本→撮影10本→編集10本…のまとめ作業に。
📈 何で測る?(KPI)
- 1本あたり制作時間(人時)
- QAでの修正回数
- 品質スコア(社内5段階×3指標:わかりやすさ/見た目/再現性)
❌ やりがちな失敗
- “匠がいなくなると回らない”属人化(誰でも回る手順書を先に作る)
要因③:拡散チャネルの“相性最適化”—SNS→アプリの導線設計
🎯 なぜ効いた?
- 短尺・完成形が映える料理動画はSNSと相性抜群。
- SNSで“発見”
→アプリで“定着”の役割分担により、獲得単価(CAC)を圧縮しつつLTVを引き上げた。
📌 どう真似る?(あなたの事業での置き換え)
- チャネルごとに目的を1つに絞る
- TikTok/Instagram:発見(新規)
- YouTube:深掘り(信頼)
- 自社アプリ/サイト:定着(検索・保存・購入)
- CTAの一貫性
SNSでは「保存→アプリDL」へ。アプリでは「レコメンド→定着」。
📈 何で測る?(KPI)
- チャネル別のCVR(視聴→DL/会員登録)
- SNS→アプリの遷移率/翌日継続率(D1)
- 獲得単価(CAC)とLTVの差
❌ やりがちな失敗
- すべてのチャネルで同じ動画をそのまま流用(縦横比・尺・導入は最適化)
要因④:広告主価値との“自然接続”—タイアップがコンテンツになる
🎯 なぜ効いた?
- レシピ内で自然に商品が登場するため、ユーザー体験を壊さず広告効果が高い。
- 広告主にとっては指名検索・棚取り(流通)・売場連動まで効く“実用コンテンツ広告”。
📌 どう真似る?(あなたの事業での置き換え)
- 3つの一致を設計
- 視聴者課題 × 2) コンテンツテーマ × 3) 商品の強み
- 企画テンプレ
- 「○分で作れる×カロリー控えめ(視聴者課題)」
- 「1フライパンで完成(テーマ)」
- 「油吸収が少ない調理器具(商品の強み)」
📈 何で測る?(KPI)
- 視聴完了率・保存率(広告入りと通常の差)
- 訴求パーツのクリック率/遷移率
- 広告主の再発注率/平均単価
❌ やりがちな失敗
- 商品訴求を前面に出して視聴体験を損なう(“課題解決>商品説明”の順)
要因⑤:データ→パーソナライズ—“次に見る1本”の最適化
🎯 なぜ効いた?
- 料理は嗜好・制約(時間・器具・アレルギー)が強く個人差が大きい。
- 視聴履歴×保存×時間帯×所要時間のデータで次の1本を出し分け、定着を促進。
📌 どう真似る?(あなたの事業での置き換え)
- まずはルールベースから
- 朝:5〜10分で作れる/パン・卵系
- 夜:ボリュームおかず/まとめ作り
- 連続保存タグに近い動画を優先提示
- レコメンド枠は3つ用意
- 似ている(嗜好)
- 今ぴったり(時間帯・所要時間)
- 新着・旬(季節・食材)
📈 何で測る?(KPI)
- レコメンド経由の視聴割合
- 連続視聴本数/セッション時間
- 翌日・7日継続率(D1/D7)
❌ やりがちな失敗
- “似たものだらけ”で飽きる(探索:活性比=8:2など混ぜる)
要因⑥:信頼の積み上げ—品質基準と監修体制
🎯 なぜ効いた?
- レシピは失敗体験が致命傷。一度の失敗で離脱する。
- 計量・手順・衛生の基準を明文化し、監修(プロの目)を通すことで信頼を蓄積。
📌 どう真似る?(あなたの事業での置き換え)
- 再現テスト:社外の初心者3名に実際に作ってもらい、成功率80%未満は差し戻し。
- 表記統一ルール:「中火=直径◯cmフライパンで◯分」など曖昧語を定量化。
- レビュー導線:成功写真の投稿/失敗ポイントの収集→改稿に反映。
📈 何で測る?(KPI)
- 再現テスト成功率
- 低評価率(星2以下など)
- 改稿後の成功率改善幅
❌ やりがちな失敗
- 成長に合わせた基準のアップデート不足(定期レビュー日を固定)
要因⑦:商品導線の自然連結—“見たら買える”が当たり前
🎯 なぜ効いた?
- 視聴直後は行動意欲が最高潮。材料・器具の導線があれば購買まで繋がる。
- 収益源の多角化(広告・アフィリエイト・自社EC)にもなる。
📌 どう真似る?(あなたの事業での置き換え)
- レシピの部品化:材料は“カテゴリ+容量”で正規化→ECと紐づけ。
- アプリ内の買い物リスト化→ECや店舗での“まとめ買い”に誘導。
- 代替候補も必ず提示(在庫・価格に左右されにくくする)。
📈 何で測る?(KPI)
- 買い物リスト作成率
- リスト→購入の転換率
- 1レシピあたりのコマース売上
❌ やりがちな失敗
- 過剰ポップアップで体験阻害(動画視聴完了後に静かに提示)
ミニ実験(今日からできる検証プラン)
1.30本の“超短尺テンプレ”制作
- 台本120–150字/尺60秒以内/手順3ステップ
- 目標:完了率60%以上、保存率10%以上
2.チャネル別の最適化A/Bテスト
- TikTok:縦9:16・冒頭3秒で完成形、字幕大きめ
- YouTube Shorts:工程寄り、テロップ多め
- 目標:SNS→LP遷移率3%
3.レコメンド枠の3分割導入
- 似てる/今ぴったり/旬 の3枠
- 目標:レコメンド経由視聴35%
4.再現テスト→改稿ループ
- 外部初心者3名×週5本、成功率80%未満は改稿
- 目標:低評価率2%未満
5.買い物リスト機能の最小実装
- 材料をワンタップで追加→CSV出力でもOK
- 目標:視聴→リスト作成率15%
失敗パターン早見表(チェックリスト)
- 1本に情報を詰め込みすぎていないか?(3ステップ以内)
- 台本・撮影・編集の手順書があるか?
- チャネルごとの目的が1つに絞れているか?
- KPIは完了率→保存率→定着率の順で追えているか?
- 監修・再現テストの仕組みが回っているか?
- “見たら買える”導線は邪魔せず自然か?
- 毎週、改善サイクル(仮説→制作→計測→改稿)を回しているか?
🎯 この章のまとめ
- UX最優先で“次の一歩”に必要な最小情報だけを出す。
- 制作を工場化して品質の再現性をつくる。
- 発見はSNS、定着は自社の役割分担でLTVを育てる。
- 広告主価値×ユーザー価値が自然に重なる企画を設計する。
- データで次の1本をパーソナライズし継続率を上げる。
- 信頼は設計できる(基準・監修・再現テスト)。
- 見た直後に買える導線で収益を取りこぼさない。
この章をあなたの分野に置き換えるだけで、実装すべき具体アクションが見えてきます。
第6章:あなたの起業アイデアへの応用方法
要点(まず押さえること)
- 課題を先に定義する(ユーザーの“次の一歩”を減らす)
- 価値は最小で完結させる(短尺・シンプル・再現可能)
- 制作を標準化して量産する(品質の再現性)
- チャネルごとに役割を決める(発見→定着)
- 収益はユーザー価値と自然につながる形で試す(広告/サブスク/タイアップ等)
- データで次を出す(レコメンド) — 小さく検証して改善
リーンキャンバスの無料テンプレート(PDF)をダウンロードできます。
1) ステップ別 実行フレーム(リーンキャンバスの各要素をどう具体化するか)
1. 課題(Problem)
✍️ やること
ターゲットユーザー3人(ペルソナ)を書き出して、彼らの上位3つの不満を取る。
📝 出力例(テンプレ)
ペルソナA:忙しい単身社会人。課題:①調理時間がない ②材料が複雑 ③失敗が怖い
📌 目的
MVPはこの課題の「最重要1つ」を解決すること。
2. 顧客セグメント(Customer Segments)
✍️ やること
最低2つのセグメント(コア/副)を決める。
📝 例
コア=忙しい社会人、副=料理初心者(学生)
3. 独自の価値提案(UVP)
✍️ 書き方
短く、独自の価値が伝わるようにまとめる
📝 例
「1分で作れる◯◯を毎日届ける」
📌 ポイント
どちらがダウンロードにつながるか、UVPのABテストを繰り返す
4. ソリューション(Solution)
✍️ やること
MVPに入れる機能だけ選ぶ(3個以内)。
📝 例
短尺動画、材料リスト、保存機能。
📌 ポイント
まずは「動画1本を最後まで見て実行できるか」を検証。
5. チャネル(Channels)
✍️ やること
役割を分ける
📝 例
- SNS(TikTok/Instagram):発見
- YouTube:深掘り・検索トラフィック
- アプリ/Web:保存・リピート
📌 ポイント
CTAは常に一つ(例:動画→保存→アプリDL)。
6. 収益の流れ(Revenue)
✍️ やること
最初はユーザー価値を壊さない広告/アフィリエイト/小額課金から試す。
📝 実験
①広告挿入位置(前半/中盤/最後)
②有料版の付加価値(広告なし+限定コンテンツ)
📌 ポイント
それぞれでA/Bテストをする
7. コスト(Cost)
✍️ やること
主要コストを見積もる。
📝 例
📌 ポイント
小さく始めるための節約ポイントを列挙(スマホ撮影、外注編集→段階的に内製化)。
8. 主要指標(Key Metrics)
✍️ やること
最初に追う指標を3つ決める
📝 例
- 完了率(動画最後まで見た割合)
- 保存率(お気に入り率)
- 翌日継続率(D1)
📌 ポイント
定着率と活性化率を、定性性と定量性の両方で測る。慣れてきたら以下の指標も追加してみる
9. 圧倒的優位性(Unfair Advantage)
✍️ やること
真似されにくいものを早めに作る。何を築いていくのか決める。
📝 例
- 独自のテンプレート
- 専門家ネットワーク
- オリジナルデータ(ユーザー行動データ)
📌 ポイント
スターアップ初期は無いことの方が多い。
2) そのまま使える実践テンプレ:60秒動画の台本
- 0–3秒:成果(完成形)を見せる(フック)
- 4–8秒:何ができるか一言で(例:「30分で作る週末ランチ」)
- 9–20秒:材料(3つ以内)を表示(短く)
- 21–50秒:手順(3ステップ)を実演(要注意ポイントを1つだけ強調)
- 51–57秒:完成→一口食べるショット
- 58–60秒:CTA(保存/レシピページへ)
📝 台本例(フィットネス)
- 0–3秒:肩が軽くなる!1分ストレッチ
- 4–8秒:「デスクワークの合間に」
- 9–20秒:必要=椅子1脚、タオル
- 21–50秒:動作A(20s)→動作B(20s)→リラックス(10s)
- 58–60秒:保存して朝のルーティンに!
3) 制作・運用チェックリスト(30本作るための最小構成)
構成
撮影
- スマホ+三脚or簡易スタンド
- 外部マイク(音声が重要)
編集テンプレ
- イントロ(3s)/タグ位置/テロップフォント
- 大きさを統一
QA基準
アップロード
- タイトル/ハッシュタグ/サムネ(サムネは3案でテスト)
4) チャネル別 最適化(短く)
TikTok/Instagram Reels
- 縦長
- 冒頭3秒で完成形
- 字幕必須
- CTAは「保存」や「やってみて」
YouTube Shorts
Web/アプリ
5) 収益化テスト(最初にやるべき3つ)
- ネイティブ広告(タイアップ)
企画だけ作って効果測定(視聴完了率、クリック率、再発注意向)
- アフィリエイト/EC導線
買い物リスト付きで遷移率を計測
- 有料会員の小さな特典
広告オフ+週1本限定コンテンツ(試験的に1か月で500人を目標)
6) KPI設計(ダッシュボード概念)
基本(週次モニタ)
- 動画完了率(目標:≥60%)
- 保存率(目標:≥8–12%)
- SNS→サイト遷移率(目標:≥3%)
成長指標(月次)
- 新規DL(目標:最初の3ヶ月で1,000DL)
- D1/D7継続率(D1 35%・D7 15%は目安)
- 課金率(目標:0.5–2% 初期)
※ 目標は業種・市場で変わるので“仮の目安”として使い、早期に実データでリセットする。
7) 30/90/180日ロードマップ(例)
30日(検証フェーズ)
目標
タスク
- ペルソナ3名の仮説作成
- 30本の短尺コンテンツ(テンプレ準拠)制作
- SNSで配信→SNS別の遷移を計測
- KPI:完了率・保存率・SNS→ランディング遷移
90日(改善フェーズ)
目標
タスク
- 成績上位コンテンツを分析→派生シリーズ制作
- 2つの収益実験(1つはタイアップ)
- アプリ/サイトのミニ機能(保存→買い物リスト)
- KPI:DL数、D1/D7、収益測定
180日(スケール準備)
目標
タスク
- 制作の半内製化(編集テンプレ化・外注を固定化)
- レコメンドの初期実装(ルールベース)
- 有料版の正式リリース準備
- KPI:CACとLTVの試算、月次黒字化シミュレーション
8) よくある失敗と対策(チェックリスト形式)
- 情報を詰め込みすぎ → 対策:1動画 = 1目的
- チャネルの最適化をしない → 対策:チャネル別テンプレを作る
- 品質がバラつく → 対策:制作マニュアル+QAテスト
- KPIを見ない → 対策:週次ダッシュボードを固定化
第7章:まとめ|クラシルから学べることと、あなたの次の一歩
この記事では、料理レシピ動画アプリ「クラシル」を例に、リーンキャンバスというビジネスモデル整理のフレームワークを使って分析しました。
クラシルの事例から見えてきたポイントは、次の3つに集約できます。
(1)顧客の課題を深く理解することが成功の出発点
クラシルは、単なるレシピ提供ではなく「情報が多すぎて探しにくい」「写真や文章では手順が分かりにくい」という課題を見つけ、その解決方法として「1分動画」という形を選びました。
ビジネスは、解くべき課題を正確に捉えたときに、強い方向性が生まれます。
(2)価値を伝える手段は「わかりやすさ」と「体験」で差をつける
高画質な映像、短い時間で理解できる編集、見やすいアプリUIなど、クラシルは「ユーザーが迷わず目的を達成できる」体験設計に力を注ぎました。
これはどんな業種でも応用できる原則です。
(3)収益の柱は複数持つことで安定する
クラシルは、広告、企業タイアップ、有料会員と複数の収益源を持つことで、リスク分散と安定収入を実現しました。
あなたのビジネスでも、1つの収入源に頼らず、複数の柱を設計する視点が重要です。
リーンキャンバスの良さは「アイデアが整理されること」
今回のクラシル分析からわかるように、リーンキャンバスは単に事業の現状を表すだけではなく、
- 「何を解決するのか」
- 「誰に届けるのか」
- 「どうやって届けるのか」
- 「どうやって収益を得るのか」
といった要素を、一枚のシートで見える化してくれます。
これは、アイデアがふわっとしている段階でも使えるので、起業の初期フェーズに特に役立ちます。
あなたの次の一歩
もしあなたが起業を考えているなら、まずはクラシルのように「顧客の課題」を丁寧に掘り下げることから始めましょう。
そして、リーンキャンバスを使って、自分のアイデアを整理してみてください。紙に書き出してもいいですし、オンラインのテンプレートツールを使っても構いません。
重要なのは、「頭の中だけで考えない」ということです。
見える化すると、強みと弱みが一目で分かり、改善の方向性も見えてきます。
次にやること
- 自分のアイデアをリーンキャンバスに書き出す
- 顧客課題をリサーチして確証を持つ
- 小さく試す(MVPやテスト販売など)
このステップを踏むことで、あなたのアイデアはより現実的で成功しやすいものになります。
リーンキャンバスの無料テンプレート(PDF)をダウンロードできます。
あなたの起業アイデアをカタチにしてみませんか
もしあなたが、
- アイデアはあるけど形にできていない
- 小さく試したいけど、どう始めればいいかわからない
そんな状態なら、MVP相談・MVP開発支援をご活用ください。
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